「給料日前なのに、急な出費でお金が足りなくなってしまった」「一時的にまとまった資金が必要になった」といった状況は、どなたにも起こり得ます。このような時に思い浮かぶのが「給料の前借り」かもしれません。
しかし、給料を支払うルールは、労働基準法という法律によって厳格に定められています。実は「前借り」と「前払い」という言葉は似ていますが、法的な意味合いや会社が応じる義務の有無において、決定的な違いがあります。
本記事では、給料の前借り・前払いの正しい定義と、それぞれの法的ルールを分かりやすく解説します。さらに、「会社に請求することが難しい」場合や、「お金に困っていることを知られるのが恥ずかしい」と感じる場合に活用できる、代替の資金調達手段についても詳しくご紹介します。
給料の前借り・前払いはできる?それぞれの違いもご紹介
給料日よりも早く給料を受け取る行為は、「前借り」でしょうか?それとも「前払い」でしょうか?実は前借りと前払いでは意味が大きく異なります。まずはこの二つの区別を理解し、前借り・前払いがそれぞれ可能なのかを確認しましょう。
給料の前借りは請求できる?
給料の「前借り」とは、まだ働いていない分の給料(これから働く予定分の想定額)を、給料日より前に受け取ることです。
この「前借り」について、会社が労働者からの願いに応じる法律上の義務は負いません。そのため、労働者が会社に給料の前借りを求めたとしても、基本的に受け取ることはできないということを理解しておく必要があります。
また、労働者視点での「前借り」は、会社視点では「前貸し」にあたります。まだ労働していない分の給料を「前貸し」として支払い、前貸し分を毎月の給料から天引きをしてしまうことは、前貸し分の労働を従業員に強制したり、退職を妨げることにつながり、労働基準法第17条で禁止されている「前借金と賃金の相殺の禁止」に該当する可能性があるため、会社側も断らざるを得ません。
給料の前払いは請求できる?
一方、給料の「前払い」とは、すでに働いた分の給料を、本来の給料日前に受け取ることです。
例として、給料が月末締めの翌月25日払いだとします。この場合、1月に働いた労働分を、本来の支払日である2月25日よりも前の1月末の時点で支払いを請求できることがあります。これが給料の「前払い」にあたります。
前払いは、法律上の「非常時払い」(労働基準法第25条)の適用対象となり、この非常時払いの要件を満たす場合は、会社はすでに働いた分の賃金について、労働者の請求に応じて支払う義務を負います。

給料の前払い(非常時払い)の要件とは?
「前借り」は難しいですが、「前払い」であれば、法律(労働基準法25条)に基づいて請求できる場合があります。この法律上の前払いは「非常時払い」と呼ばれています。
非常時払いの要件:前払いを請求できる6つの事由
労働基準法第25条および労働基準法施行規則第9条に基づき、労働者本人、またはその収入によって生計を維持する者について、以下の6つの事由のいずれかが生じ、その非常の場合の費用に充てる目的がある場合に限り、会社に対してすでに働いた分の給料の前払いを請求することができます。
- 出産
- 疾病(病気や怪我。業務上のもの、業務外のもの(私傷病)の両方を含む)
- 災害(洪水などの自然災害を含む)
- 結婚
- 死亡
- やむを得ない事由による1週間以上の帰郷
これらの事由に該当する場合は、会社が特段の制度を設けていなくても、労働者はすでに働いた分の給料の支払いを請求することができます。この制度は、雇用形態にかかわらず、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトの方も対象です。
非常時以外で前払いを受ける方法はある?
上記の非常時払いの要件を満たさない場合でも、会社が独自に福利厚生の一環として「給料前払い制度(前給制度)」を導入しているケースがあります。
この制度には、会社が自己資金で前払いをするパターンと、外部業者が給料を立替払いするパターンがあります。必要な場合は会社に確認してみましょう。
前払いを受ける際の注意点
給料の前払いを利用する際には、いくつかの注意点があります。
本来の給料から差し引かれる
非常時払いであれ、社内制度に基づく前払いであれ、前払いされた金額は、次に支給されるはずだった給料の一部です。したがって、次の給料日に実際に受け取る給料は、前払いを受けた金額が差し引かれた金額です。
即日での受け取りは難しいケースが多い
労働基準法第25条は非常時払いを義務付けていますが、いつまでに支払わなければならないかという具体的な時期については規定がありません。社内制度に基づく場合も、事務手続きの関係上、即日で前払いを受けられるケースは少ないため、急ぎで資金が必要な場合は注意が必要です。
利用金額
非常時払いの場合、請求できるのは「既に働いた分の給料」に限られます。つまり、「いくらまで」前払いを受けられるかは、労働者が既に働いた日数や時間によって決まります。まだ少ししか働いていない場合、十分な金額を前払いしてもらえない可能性もあります。
手数料の負担
外部業者が提供する給料前払いサービスを利用する場合、手数料(システム手数料や振込み手数料など)の負担が生じるケースがあります。そのため、本来受け取る給料と比べると総額は少なくなる場合があります。
給与ファクタリングとは?仕組みと潜むリスクについて
給料日前に資金を受け取る仕組みとして、「給与ファクタリング」という言葉を聞くこともあるかもしれません。しかし、このサービスには重大なリスクがあります。
給与ファクタリングの仕組みと定義
給与ファクタリングとは、労働者が将来受け取る予定の給与債権を業者に売却し、給料日前に手数料が差し引かれた金額を受け取るサービスです。これは、企業が売掛金を買い取ってもらうファクタリングの仕組みを給与に応用したものですが、給料の前借りや前払いとは根本的に異なります。
なぜ利用してはいけないのか?
金融庁は、給与の買取りをうたう違法な業者の利用に対して強く警鐘を鳴らしています。(【参考】ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁)給与ファクタリング事業は、実態として給与債権を担保とした金銭の貸付け(借金)とみなされることが多いため、事業を行う際は貸金業登録を受けなくてはなりません。
しかし、登録を受けずに給与ファクタリングと称して事業を行う業者、いわゆる闇金が多く存在します。これは法的な安全性が担保されていないため、利用者は深刻な被害に遭うリスクが高いのです。
お金が必要な状況であっても、こうした違法な給与ファクタリング業者は絶対に利用しないようにしてください。
違法な業者を利用した場合、以下のような危険性があります。
- 高額な手数料の請求
- 違法な給与ファクタリング業者を利用した場合、法定金利を遥かに超える手数料を請求され、手元に残る現金はわずかであるにもかかわらず、高額な返済義務だけが残るため、多重債務に陥りやすくなります。
- 違法な取立ての被害に遭う
- 返済が滞ると、会社にまで執拗な取り立ての連絡が入るなど、精神的・社会的に追い詰められるリスクがあるため、絶対に手を出してはいけません。
給料の前払いができない場合の代替資金調達手段
給料の前払いは非常時に限定されているため、生活費が足りないなどの理由では請求できないことがほとんどです。また、前給制度といった福利厚生により前払制度がある場合でも、会社に「お金に困っている」ことを知られるのが恥ずかしいと感じたり、人事評価への影響を懸念したりして、会社へ相談するのをためらう方もいるかもしれません。
前払いの請求ができない場合や、会社を通さずに資金を調達したい場合のために、いくつかの代替手段をご紹介します。
勤務先の福利厚生を利用する:従業員貸付制度
先ほどご紹介したような前給制度の他に、勤め先によっては従業員貸付制度が導入されている可能性があります。これは従業員に貸し付けを行う制度で、必要な資金を借り入れできる可能性があります。
- 特徴とメリット:この制度は営利目的ではないため、金融機関のローンと比べて金利が低い可能性があります。
- 注意点:給料の前払いとは異なり、従業員貸付制度は「会社からの借り入れ」に当たります。したがって、借りたお金は会社に返済する義務が生じます。また、自動車購入費用や教育資金など、使途が限定されている場合があるため、事前に制度内容をよく確認することが必要です。利用する際は、一般的に社内審査が行われます。
クレジットカードの活用(ショッピング機能とキャッシング機能)
一時的に現金が足りない場合、クレジットカードのショッピング機能を利用すれば、手元にお金がなくても支払いが可能です。また、現金が必要な場合は、クレジットカードに設定されているキャッシング枠を利用して借り入れを行うことができます。キャッシング枠が既に設定されていれば、即日でお借り入れが可能な場合があります。ただし、キャッシングの利用には所定の利息が発生するため、計画的に利用することが重要です。
手持ちの資産を活用する
今すぐ現金が必要な場合、手持ちの資産を活かした調達方法も有効です。
| フリマ・買取サービスでの売却 | 自宅にある不要品をフリマアプリ(メルカリなど)や買取専門店で売却する方法です。特に、ブランド品や人気ゲーム機、Apple製品などは高値がつきやすく、まとまった現金化が可能です。 |
| 質屋の利用 | 貴金属や時計などの価値の高いアイテムを担保(たんぽ)として預け、その範囲内でお金を借りる(融資を受ける)方法です。借入れではありますが、担保がモノであるため、収入審査は不要です。ただし、モノは預けている間使えず、返済期限を過ぎると質流れとなり、所有権を失います。 |
| デジタル資産の現金化 | スマートフォンやPCの中に眠っている、Tポイント、楽天ポイントなどデジタル資産やデジタルギフト券(Amazonギフト券など)を現金同等として利用したり、専門サイトで売却したりすることで、現金の支出を減らすか、少額の現金を捻出することができます。 |
| リースバック | リースバックとは、不動産や日常的に使っている動産を一度売却してお金を受け取った後、リース料を支払うことで、そのまま利用することができるサービスのことです。特に後述するカシャリの動産リースバックはモノの価値」を評価基準とするため、無職の方でも利用できる可能性があります。 |
資金調達の新常識!カシャリの動産リースバックとは?
給料の前借り・前払い以外の選択肢を検討する際に、特に注目すべきなのが先ほどご紹介したカシャリの「リースバック」というサービスです。カシャリの動産リースバックは日常的に使っているモノ(動産)を一度売却して買取金を受け取った後、リース料を支払うことで、そのまま使い続けられるサービスです。
「リースバック」の仕組みについて
カシャリのリースバックは、あなたのモノに対して「売買契約」と「賃貸借契約」という二つの契約を同時に締結する仕組みです。
売買契約(買取金の受け取り)
あなたのスマートフォンやゲーム機を、カシャリ運営元であるガレージバンクに売却し、買取代金として現金を受け取ります。この時点で、アイテムの所有権はカシャリ側へ移転します。
賃貸借契約(リース契約)
アイテムの所有権は当社に移転しますが、カシャリに対してリース料を支払うことで、契約期間中、アイテムをそのまま使い続けることができます。
この仕組みにより、「お金は手に入ったけれど、生活に必要なモノは手元に残る」という状況を実現でき、日常生活で欠かせないスマートフォンやPCを手放さずに資金を調達できるのは、非常に大きなメリットとなります。
リースバックについてより詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。
カシャリのリースバックとは?仕組みやメリット・安全性についてご紹介します

カシャリの特徴と質屋・フリマ・借金との決定的な違い
カシャリのリースバックは、従来の質屋やフリマアプリ、消費者金融での借り入れとは、決定的に異なります。
特徴①借金ではない安心感
カシャリは「お金を貸す」融資(借金)ではないため、「お金は欲しいけど消費者金融などで借金はしたくない」という方にとっては安心してご利用いただけるサービスです。
カシャリではお金を「返す」義務ではなく、モノを「借りる」対価としてリース料を支払う義務が発生します。リース料を支払えない場合も、モノをガレージバンクに手放すという選択肢を選ぶことができます。
特徴②生活必需品を維持
質屋やフリマと違い、モノを預けたり売ったりする必要がないため、PCやスマホといった現代の生活必需品であっても継続利用できます。
給料の前借りはあくまで一時的なニーズであることが一般的なため、今後も必要となるモノを手放さずに使い続けられることは重要なポイントです。
| サービス名 | 資金調達の性質 | アイテムの利用 | 信用情報 |
| カシャリ | 売買+賃貸借 | 使い続けられる | 不要(モノの価値が基準) |
| 質屋 | 融資(借金) | 預ける(使えない) | 不要(担保はモノ) |
| フリマ・買取 | 売買 | 手放す | 不要 |
カシャリの利用の流れ(査定から契約終了まで)
カシャリの利用はアプリ上で完結し、非常にシンプルかつスピーディです。
- 査定を依頼:アプリのガイドに沿ってアイテムの写真を撮影し、送信するだけで査定依頼が完了します(査定手数料0円)。
- 利用申し込みと資金受取り:査定額に納得後、リースバック契約を申し込みます。審査を経て、通知が届いたらすぐに現金を受け取ることができます。

- リース料の支払い:利用期間(通常3ヶ月)中、アプリ内の口座またはクレジットカードでリース料を支払います。

- 契約終了時の選択肢:期間終了時には、①モノを買い戻す(契約時に提示された残存価格を支払う)、②利用期間を延長する(再契約)、③モノをカシャリに送って手放す(以後のリース料支払いは不要)の3つの選択肢から選ぶことができます。
①アイテムを買い戻す

②利用期間を延長する

③モノを手放す

まとめ
給料日前にお金が必要になったとき、労働者が知っておくべき最も重要なことは、「前借り」と「前払い」の法的な違いです。
| 項目 | 前借り(これから働く分) | 前払い(既に働いた分) |
| 会社の義務 | 法律上の応じる義務はない | 非常時には応じる義務がある |
| 労働基準法25条 | 適用外 | 適用あり(非常時払い) |
| 現実的な可否 | 非常に難しい | 非常時、または社内制度があれば可能 |
給料の「前借り」は、労働基準法で前借金の相殺が禁止されている(労働基準法17条)ため、会社が応じる可能性は低いです。一方、「前払い」は、出産や疾病などの非常事態に限り、既に働いた分の給料を請求できますが、いつでも前払いを受けられるわけではなく、即日でお金を受け取ることも難しいのが現状です。
もし、給料の前払い制度が利用できない場合や、急ぎで資金が必要な場合は、会社に知られずに利用できるクレジットカードのキャッシング、借金をしたくないようであれば、所有物を手放さずに資金調達できる動産リースバック(カシャリ)などの代替手段を検討しましょう。
一時的な資金不足を乗り切るためには、現状を正しく把握し、ご自身の状況とニーズに合った、安全で信頼できる方法を選択するようにしてください。